サイゼリヤといえば、安価で美味しいイタリア料理が食べられるファミリーレストランである。その安さ故か「サイゼリヤで1万円使ってみた」というチャレンジが定期的に流れてくる。
彼氏が「サイゼで1万円分食べないと帰れまてん!する?」といきなり聞いてきた!!楽しすぎる!!やる!!!!!!!最高すぎる!!!!!今月の記念日に行ってくる!!!!楽しみ〜〜〜!!!!!
— だしまき (@tamagowadashi) 2023年11月6日
しかし、これだけ盛り上がるチャレンジでありながら攻略法らしきものが存在していない。例えばラーメン二郎。昔はコールや店の雰囲気が悪し様に表現されていたが、ユーザーの甲斐甲斐しい活動により今は老若男女日本国民全員が愛する国民食となっている。
その点、サイゼリヤ一万円チャレンジはどうだろう。ムール貝を食べ続けるという攻略法(?)は生み出されど、基本的には「たくさん食べる」が正攻法になってしまっている(※当たり前である)。本当の意味でサイゼリヤ一万円チャレンジに向き合っている人物は、そう多くはないのではないか。
何かに挑戦するのであれば下調べをするのは当たり前である。しかし一万円チャレンジはそうはいかない。おそらく多くの挑戦者がノープランで挑み、「ガンガン食おうぜ」か人海戦術で乗り切っている。現代のサイゼリヤ一万円チャレンジがそれでいいのだろうか。
とはいえ「たくさん食べる」は大前提になってしまう。そもそもサイゼリヤでなくともそこらのファミレスで一万円食べるのはなかなか難しい。人間の胃袋には限界がある。その中で攻略となると「高くて胃に負担の少ないもの」を注文するのがセオリーとなる。5000円のわたあめがあればクリアしたも同然である。
となると、「高くて」「物量の小さい(胃に負担の少ない)もの」を注文していくのが正しく攻略法となる。サイゼリヤのメニューの物量を金額で割り、1円あたりのg数が小さいものを食べ続けるのが最良と言えよう。
しかし、残念ながらサイゼリヤのメニューには料理の重さは掲載されていない。というかそれを求めると(ネタバレになるが)酒を1リットル飲むのが最適解となる。
やはり食事は楽しく行いたい。一万円に行くことばかり気にして同じメニューの連打や苦しそうに食事するのは勿体ないし失礼である。せっかくのサイゼリヤ、サラダから始まり前菜・おつまみ、お酒を嗜みながらパスタやピザ、肉料理に舌鼓を打ちデザートで満足したい。各ジャンルを楽しみながら一万円を達成することがベストだ。
ということで、今回は「金額」と「カロリー」を比較し、「値段の割にカロリーの少ない」メニューを各ジャンルごとにチョイスし、攻略法としていきたい。ダイエット中の女性も安心して一万円チャレンジしてほしい。
例えば、定番メニューのミラノ風ドリアは税込み300円で521kcalだが、このカロリーを1円あたりに換算すると1.74となる。この数値が低ければ低いほどコスパの悪い(値段の割にカロリーが摂れない)メニューということになる。
(ちなみにラーメン二郎三田本店はラーメンを¥600で提供しており、カロリーは1,400とインター・ネットに書いてあったのでCPは2.33となる。コスパの塊が丼に入っているようなものである)
この数値を全てのメニューで算出し、コスパの悪いメニューでフルコースを作ることで、「サイゼリヤで1万円チャレンジしたけどカロリーが気になる//」という世のトリコ系女子を救いたいと思う。願わくば、この記事を通じて、読者諸氏も新しいメニューとの邂逅を果たしてほしい。
ルールについて
- メニューはサイゼリヤ公式ページの「北海道,関東南部,長野,山梨,静岡,愛知,岐阜の一部のグランドメニュー」を使用(筆者が住んでいるため)
- 各メニューのカロリーを金額(税込)で割り、1円辺りのカロリーを算出、これが低いほど「コスパの悪いメニュー」とする
- 「コース」なので、各ジャンルにあるメニューは1種類以上注文することとする
- ただコスパが悪いものを選ぶのでなく、メニューの量やその他の要因を考慮しメニューを選択していく
※コスパが悪くとも安価すぎるものはチャレンジに貢献しないため - サイゼリヤを楽しむ
以上のルールに則り、「コスパの悪い」コースを作り上げていく。
「サイゼリヤを楽しむ」という前提がある以上多種多様なメニューを選ぶのはもちろんだし、記事のコンセプトとして「カロリー効率の悪いメニュー」をなるべく選ぶが、同時に「一万円食べること」を目指すため、いくらコスパが悪かろうと安すぎる食品は避けるものとする。できるだけ「高くて」「カロリーが少ない」ものを選んでいく。
では、まずはメニュー表の最初、サラダからスタートしよう。
サラダ
予想通りと言えば予想通りだが、グリーンサラダとわかめのサラダがコスパが悪い(※今回に限っては褒め言葉)
小エビやチキンなど固形物が無いのも胃への負担が少なそうでポイントが高い。加えてわかめのサラダはサイゼリヤドレッシング、グリーンサラダはオリーブ&ビネガーと別々のドレッシングが楽しめるのも嬉しい。一万円チャレンジの一歩目としてこれ以上のメニューは無いだろう。
また、小エビやモッツァレラ、チキンは後のメニューでも登場するため、ここはわかめやフレッシュな野菜を楽しむのが「サイゼリヤを楽しむ」というコンセプトに沿っていると言えよう。
- グリーンサラダ・・・¥350
- わかめのサラダ・・・¥350
小計:¥700
合計:¥700
スープ
具材の無いコーンクリームスープが強いかと思いきや、金額の兼ね合いでミネストローネ・たまねぎのズッパに軍配が上がる。金額面で両メニューに追いつこうとするとコーンクリームスープを二杯飲まないといけないので、食事を楽しむことを考えるとミネストローネとたまねぎのズッパを注文した方がいいだろう。
付け合わせはガーリックトースト・ミニフィセルが安定である。シナモンプチフォッカは甘いためスープの付け合わせとしてはやや合わず、プチフォッカは安すぎてコスパよくカロリーを接種できてしまう。まだ食事が始まったばかりだということを考えるとここでの浪費は避けたい。
なお、シナモンプチフォッカの名誉のために言っておくと、筆者はシナモンプチフォッカが大好物である。今回のレギュレーションには合わなかった、というだけだ。
- 田舎風ミネストローネ・・・¥300
- たまねぎのズッパ・・・・・¥300
- ガーリックトースト・・・・¥200
小計:¥800
合計:¥1,500
前菜・おつまみ
- 生ハム(2枚×25皿)・・・¥8,000
小計:¥8,000
合計:¥9,500
サイゼリヤ全クリです。
もうゴールは目の前だ! あと一息、頑張ろう!
前菜・おつまみ(再)
1円辺り0.12kcal。「王」である。320円で39kcalしか取れない。とは言え、このポテンシャルを持つメニューを先に消費するのは勿体ない。彼は王翦である。あと少しで一万円に届く、そんな時に万全な状態の増援として登場し戦を終結させる、言わば決定打として使うべきである。
(もし本当に一万円チャレンジをするとしたら、最初から生ハムで稼ぐのではなくある程度好きなものを食べてから生ハムを食べるべきである、の意)
ということで生ハムを除いて見るとムール貝のガーリック焼きがコスパが悪い。野菜も食べたいのでモッツァレラトマトやにんじんサラダを頼むのもいいだろう。
揚げ物ではポップコーンシュリンプがディップする楽しみも味わえる。カリッとポテトは安価な割にカロリーが高いのと、肉料理の付け合わせとしてついてくるので選択しないこととする。アロスティチーニも金額の割にカロリーが低く高評価であるが、後で肉料理を頼むので今回は選択しなかった。
逆にエスカルゴは後のメニューで登場しないので、好みであれば注文して構わないメニューである。美味しいし。
- ムール貝のガーリック焼き・・・¥400
- 爽やかにんじんサラダ・・・・・¥200
- モッツァレラトマト・・・・・・¥280
- ポップコーンシュリンプ・・・・¥300
小計:¥1,180
合計:¥2,680
なお、生ハムは全メニュー見ても間違いなくコスパ最弱のため、好きであればある程度頼んでしまって構わない。量・カロリーからして一万円チャレンジのためだけに生まれてきた存在と言っても過言ではある。
酒類
残念ながら酒類に関してはカロリーの表記がなかったが、ボトルキャンティルフィナリゼルバ(¥2,200)で安定だろう。金額は正義である。
小計:¥2,200
合計:¥4,880
ドリア・グラタン
ミラノ風ドリアは食べてはいけません。
皆様ご覧の通り、ミラノ風ドリアは安価でカロリーも十分なコスパ最高のメニューである。サイゼリヤを長年支えてきた風格と矜持を感じる。
しかしながら、エビクリームグラタンやタコとエビのドリアと比較して安価なのにカロリーはしっかりあるという点が災いしコスパは高めとなった。一万円チャレンジという若干の無理が発生する挑戦をするのであれば、やはりこういう細かいところでケアを怠らないのが成功の秘訣と言えよう。
だがサイゼリヤを楽しむのにミラノ風ドリア無しなどありえないので注文することとする。秘訣などくそくらえだ。革命はいつもこういうところから起こる。
- 半熟卵のミラノ風ドリア・・・¥350
- エビクリームグラタン・・・・¥400
小計:¥750
合計:¥5,630
ピザ
バッファローモッツァレラピザ一択。
高いのに軽い。理想的な麻雀の手のようである。配牌跳満一向聴の手がここにある。
さてモッツァレラピザ、他メニューと比較して100円高いのにカロリーは抑えめなので本チャレンジにはピッタリである。二枚頼むとすればバリエーションを楽しむため野菜ときのこのピザ辺りになるだろうか。Wチーズは金額は稼げるがコスパが良くなってしまうので、なるべく通常のピザを頼むようにしよう。
なお、驚くべきことにWチーズにするともれなくコスパが上がっている。金額をかけた分ちゃんとお得になる点にサイゼリヤの企業努力が伺える。
- バッファローモッツァレラのピザ・・・¥500
- 野菜ときのこのピザ・・・・・・・・・¥400
小計:¥900
合計:¥6,530
パスタ
パスタ界のラブライブである。
イタリア料理専門というだけありパスタの種類が非常に豊富だ。コースを組み立てるにあたって前後との素材の被りは意識していたが、パスタはどれを選んでも被りにくいタレント揃いのラインナップとなっている。一つだけなんて選べない。
チャレンジ的な観点で言えば上位3種がタラコ・アラビアータ・イカスミと異なる味わいを持っているのでこの三種類から選べば、もしくは三種類とも選べば問題無いだろう。ボンゴレが食べごたえがあり後に響くかな? という懸念程度で、どのメニューも量は安定しているのでペペロンチーノ(安価)以外であれば何を選んでも誤差に感じる。
- 小エビのタラコソース・・・・¥540
- イカの墨入りスパゲッティ・・¥500
小計:¥1,040
合計:¥7,570
肉料理
見てるか谷沢……肉料理界の赤司征十郎がここにいるのだ……
まさかのここに来て単価¥870、コスパ0.43の化け物が降臨。他のメニューも(ライス以外)隙がなく、他ジャンルと比較しても遜色の無いコスパの悪さを誇っている。立海大付属の連覇に死角は無い。
失礼の無いようラム・ハンバーグ・チキンのビッグ3を一種類ずつと、ライスを注文して礼を尽くしたいと思う。
- ラムと野菜のグリル・・・・・・・・¥870
- チョリソーとハンバーグの盛合せ・・¥550
- 若鶏のディアボラ風・・・・・・・・¥500
- ライス・・・・・・・・・・・・・・¥150
小計:¥2,070
合計:¥9,640
デザート
残念ながらバーミヤンのサイトにカロリーの表記がなかったのだが、食後酒のグラッバが300円・30mlで71kcalという破格のコスパを持っているので酒に自信のある方はここでの調整が可能である。これを34杯(1リットル)飲めばチャレンジ成功だ。
単純に詰めの場面でも、大さじ2で300円獲得できるのは一万円チャレンジにおいて決定打になる。尚アルコール分は40%である。
まあ、ここまでくればもはや何をチョイスしてもクリアである。甘いものが好きな人はここで多めに食べてもいい。カロリーだけで言えば意外と少ない。
- ティラミスクラシコ・・・¥300
- イタリアンプリン・・・・¥250
小計:¥550
合計:¥10,190
「最もコスパの悪いコース」
こうして、最もコスパの悪い(食材の偏りを考慮したためそうとは言い切れないが)コースが完成した。
総カロリー7,710kcalの化け物コースの完成である。厚生労働省がまとめている成人男性が一日に必要なカロリーが18〜29歳で2,650 kcal、30〜49歳で2,700kcalであることを考えると一食辺りは900kcal程度となるため、8~9人程度でチャレンジするのが現実的と言える(実際にはもっと食べるだろうからそんなには必要無いだろうが)
とは言え各ジャンルで2~3メニューしか頼んでいないため、食べざかりの男性2~3人で行けば十分に達成出来るだろう。
細かい部分を見ていくと、ジャンル内であれば(生ハムのようなメニューはともかく)金額・物量のバランスが大きく崩れるようなメニューはあまり無く、コースで見た時にどれを選んでもチャレンジに影響しなさそうなのは嬉しいところだろう。ワインのボトルさえ入れれば各ジャンルから2~3品注文すれば十分達成できるはずである。
唯一、ラムと野菜のグリルが比較的高額(かつ低カロリー)な商品のため、このメニューがある今が逆に一万円チャレンジに向いているのかもしれない。
なお、RTAをしたいのであれば生ハムを30皿と400円メニュー一品(丁度一万円)が最も効率が良いが、せっかくのサイゼリヤをそんな楽しみ方をするのは非常に勿体ないので全く推奨はしない(生ハム30皿とデカンタなら違和感無いか……?)
一万円チャレンジのポイント
と、いうことで全メニューを改めて俯瞰しコースを作ってみた上でのチャレンジにおけるポイントがこちら。
- 出来ればワインで¥2,200稼ぎたい
普通に考えたら無理めなチャレンジではあるので、途中でリタイアする場合いっそ持ち帰れるボトルを選ぶのがベターなマナーと言えよう。
- 腹に溜まらなそうなメニューでも安価なものは避けた方が良い
結果二倍食べることになる。金額が同じであれば同ジャンル内でそんなに差異は無いが、安価な商品は罠である。安かろう良かろうのサイゼリヤの策略に引っかかり、まんまと美味しく頂くことになる。
- ミラノ風ドリアは安価でカロリーがあるので不向き(でも食べよう)
我々はイタリア旅行をしているのではない。サイゼリヤを楽しみにきているのだ。
- 最強は生ハム、アルコール強ければグラッバ
とは言えSNS映えを意識して無理して食べるのはやめよう。ご飯は笑顔。はればれジャンプ。
- ラムと野菜のグリルがあるうちにチャレンジしよう
筆者の大好物のアンチョビマルゲリータピザが消えたように、いつメニューが変わってもおかしくない。ボーナスメニューであるラムがあるうちに挑戦しよう。
ちなみにお気づきだろうが、今回の記事のフルコースにはちゃんと注文番号を記載している。この記事片手にサイゼリヤに赴き、注文用紙に記入するだけでお手軽に一万円チャレンジができるようになっているので是非お友達とチャレンジしてみてほしい。
かくいう筆者も流石にサイゼリヤに行きたくなってきたので、書き上げたその足でサイゼリヤでディナーを楽しもうと思う。
それではいつかサイゼリヤでお会いしましょう。チャオ!
注文番号変わってる〜〜〜〜〜!!!!!
※スマホ注文になったから