かしこまメガトンパンチ

遊戯王とマンガ中心の雑記ブログ

【FGO】キリシュタリアとカイニスの真意について【考察】

異聞帯サーヴァントは堕ちていきます。

 

獣国の皇女はガッデムホット、

イヴァン雷帝は滑り台になり、

ワルキューレはギャルゲーに励み(かわいい)、

スカディは温泉でアイスを楽しみ、

虞美人パイセンベガスで豪遊、

始皇帝は朕朕うるさいし、

インドの二人はサウナで我慢比べ、

このままいけばディオスクロイが幽体離脱を始めるのも時間の問題でしょう。

 

そして例に漏れず、見事に撃ち落とされた英霊が一騎、たのしいカルデアに仲間入りをしました――といいつつ、カイニスの馴染ませ方は上手かったですね。

他の異聞帯サーヴァントのように、敵として敗北し、その後カルデアに召喚されてギャグもこなすようになったわけではないので、「突然ギャグキャラになった」という違和感はなかったと思います。元々「俺はァ! 神霊だァ!」の辺りからかなり怪しかったんで「やっぱりこんな感じになるのか」みたいな。 カイニスという存在の連続性を維持したまま綺麗に落としたというか。

(まあ、召喚したら召喚したでもっと愉快なキャラになりますが)

 

さて本題です。オリュンポスにてカイニスはカルデアに加わりましたが、そもそもカイニスは何故、どのような理由でカルデアに加わったのか。キリシュタリア/カイニスの目的から「キリシュタリアの行動」「カイニスの行動」をそれぞれ考察します。

 

前提:カイニスのスタンス

まず前提として、カイニスは「キリシュタリアのサーヴァント」であり「異聞帯側ではない」というスタンスを一貫しています。

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そして、カイニスはゼウス撃破後に即座にカルデアを離反しています。

つまり、カイニスの目的は最初から最後まで「キリシュタリアを勝利させること」だったと考えていいでしょう。こう考えると、カイニス及びキリシュタリアの行動の真意が見えてきます。

 

カルデアに加わったキッカケについて

カルデアに加わったキッカケという点で言えばシンプルで、作中で語られているようにゴルドルフに”負けた”からです。

カイニス/ゴルドルフの関係はキリシュタリア/少年の過去と似通っています。「命を救われた」だけならまだしも「焼きたてのパンを差し出した」まで同じである以上、これは敢えて似せているのでしょう。あの瞬間、カイニスはゴルドルフを通してキリシュタリアを見ていました。

そもそも、カイニスは「自身以外を神に押し上げる=他者のために自らを投げ打つ」に惚れ込み、キリシュタリアをマスターとして認めています。自分にその生き方はできないとしながらも、その生き方を選んだ人間を認めているのです。そして、カイニスから見たゴルドルフはまさしくそういった人間でした。

「逃げていい」と言われたにも関わらず、カルデアを守るため、汎人類史を取り戻すため、ゴルドルフは自らの命を賭けました。カイニスに対峙したこの瞬間、間違いなくゴルドルフは「他者のために自らを投げ打つ人物」でした。その姿に自らの主・キリシュタリアを見たからこそ、カイニスは素直にカルデアに与することを選びました。しかし、それを認めるわけにはいかないからこそ、「クロワッサンでもてなされた」という「理由」が必要だったのでしょう。

続いては「カイニスがカルデアに加わるメリット」についてです。

 

利害の一致という点

実のところ、カルデアとカイニスの利害は一時的ではありますが一致しています。

カイニスの目的は「キリシュタリアを勝利させること」。そのために必要なのは「カルデアの殲滅(対抗勢力の排除)」「オリュンポスの神々の撃破(空想樹の獲得)」です。

一方のカルデアも、「オリュンポスの神々の撃破」を当面の目標としています。つまり、カイニスから見ればこの時点での利害は一致しているのです。

そしてそれは当然、キリシュタリアから見ても同じです。

 

キリシュタリアの筋書き

そもそも、カイニスがカルデアに協力すること自体、キリシュタリアの筋書き通りであったと考えられます。

自らの目的を果たすためには、オリュンポスの撃破(ゼウスに勝利すること)が必須となります。しかし、それを知られるわけにもいきません。ディオスクロイにすら計画を話していなかった以上、そこに細心の注意は払っていたはずです。

そこで、カイニスの気性の荒さが良い方向に転がりました。オリュンポスの撃破という企みを、カイニスであれば違和感なく遂行することができました。

アトランティスにて

アトランティスにてディオスクロイに「始末」されたカイニスは海に沈んでいきますが、そのシーンでは令呪を使用したようなSEが流れています(5章11節)。

オリュンポスにてキリシュタリアが令呪を2回しか使っていないことを考えると、これはキリシュタリアが使用したものだと考えていいでしょう。

とすれば、キリシュタリアはディオスクロイにカイニスの始末を命じておきながら、自らはカイニスを救出する、一見矛盾した行動を取っています。しかし、この行動こそ「自らのサーヴァントにオリュンポスを撃破させる」のに必要なプロセスでした。

 

まずキリシュタリアは、表面上は「助けろ」と命じたディオスクロイにカイニスを始末させ、「オリュンポスがカイニスを裏切った」という構図を作りました。

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その一方で、令呪を使ってカイニスを救出カルデアに送り届けます。

そして、「オリュンポスが裏切ったためカイニスはカルデアに与した」という大義名分を持って、「オリュンポスの神々の撃破」をカイニスに遂行させました。

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オリュンポスの撃破をキリシュタリアのサーヴァントが行っているにも関わらず、「あくまでカイニスの暴走であり、キリシュタリアに非はない」という構図に収めたのです。

それらが全て計画だった証左として「時間はかかるが、カイニスはカルデアに協力すると予想していた」と口にしています。

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キリシュタリアからすれば「協力してほしいけど、時間はかかるだろうなぁ」という予想だったのでしょう。結果としてはふわふわのパンでKOです。

また、もう一つの理由として、星辰の「戦いはあと1回」の教示があります。本人はカルデアと決着をつけたがっていました。となると、自分がゼウスと戦うわけにはいきません。ゼウスはカルデアが倒さねばならないのです。そのために、自らの持つ戦力を、咎められない形でカルデアに送り込みました。

こうして、キリシュタリアは倒すべき二つの勢力のうち一つを撃破することに成功しました。本人こそカルデアと決着をつけたがっていましたが、カルデアも消耗しているという点では最大の成果を得たと言って問題はないでしょう。

 

カイニスの戦う理由

一方のカイニスは共闘に「ゼウスを倒すまで」という期限を設けています。

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 「借りを返す」としながらも、カイニスはキリシュタリアの撃破を口にはしていません。ゼウス撃破後はキリシュタリアのサーヴァントとしてカルデアと戦闘を繰り広げます。ここから、カイニスはキリシュタリアを撃破する気は無かったことがわかります。

カイニスは、どこかのタイミングでキリシュタリアの意図を理解し、カルデアに協力していたと考えるべきでしょう。

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このシーンでも「キリシュタリアに借りを返す」としていますが、通常であれば「命を救った」カルデアと、「自らを裏切った」キリシュタリアが同列になることはありえません。

アトランティスにて自らを助けた借りを返すため、彼の思惑通りカルデアに力を貸す、という意味だったのでしょう(令呪の件がなくとも、そもそもキリシュタリアが来なければカルデアに敗北していますし)

※ここの「フォウ……?」は「カルデアの認識」と「カイニスの認識」が異なっていることに対する違和感を表現するために挟まれていると考えられます。

カイニスは乱暴者ではありますが愚かではありません。「借りを返す」と嘯き、陣営を変えながらも、キリシュタリア・ヴォーダイムのサーヴァントとして、キリシュタリアの障害となる存在を排除し続けていただけなのです。

 

カルデアに協力する、カイニス最大のメリット 

最後に、カイニスがカルデアに加わった理由について述べていきます。

カイニスはカルデアに加わった決め手として「キリシュタリアのことを聞かれたから」としています。

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カイニスにとって「キリシュタリアの目的」も「彼が本来どんな人物であるか」も自分(とアトラス)しか知らないものです。キリシュタリアは、誰にも知られぬまま目的を達成しようとしていました。

辛すぎる、酷すぎる、酷すぎる、共感できない。海辺でカイニスはそのような感想を抱いています。しかし、カイニスはキリシュタリアを支えたいと感じました。その生き方を認め、愚かな夢を叶える道を選びました。その果てで、マスターが誰にも理解されないまま取り残されることを理解しながら。

だからこそ、敵でありながら、敵であるにも関わらずキリシュタリアのことを知ろうとする人間を、カイニスは喜んだのです。

それは、ある意味カルデアと異聞帯との関係と同じ、「消えゆくからこそ記憶に留めておく」ことに他なりません。それが同情だったのか、それとも、主に対するせめてもの献身だったのかはわかりません。

それでも、カルデアに助力した先にある「キリシュタリアを理解する者が増えること」こそ、カイニスにとっての最大の見返りであり、カルデアに協力し続けた最大の理由だったのでしょう。

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