カードゲームにはインフレが付き物です。遊戯王もその例外ではなく、新弾では「百景戦都ゴルディロックス」を始めとした「生まれて初めてこのテキストを目にした」カードが世に放たれてしまいました。
このままインフレが進めばシークレットレアのカードの効果を受けないモンスターが生まれたり、制限改訂が40秒に一度に変更されゲームシステムがデュエリストキングダム編に回帰してしまうのも時間の問題でしょう。
一枚のカードの情報量もどんどん多くなり、テキストのニュアンスもガンガン絶妙微妙なものになり、日本語として認識出来るのに効果が理解出来ないカードも当然生まれてくるでしょう。
いやもういるんですけどね。
轟の王 ハール
このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:「轟の王 ハール」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。②:1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。相手は自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない。③:魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、自分フィールドの「ジェネレイド」モンスターまたは魔法使い族モンスターを合計2体リリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。
「墓地へ送らなければならない」、珍しいテキストです。
「群雄割拠」「拮抗勝負」や「深淵の宣告者」、「サイバー・エンジェル」儀式モンスターなどが同じテキストを持っています。
効果で墓地へ送ると勘違いしがちですが、この効果は「相手プレイヤーに墓地へ送るという行為を強制・強要する効果」として扱われます。墓地へ送るモンスターに影響する効果ではなく、あくまでプレイヤーに影響を及ぼし、墓地へ送られたモンスターは効果でもコストでもなくプレイヤーがやらなきゃいけないから仕方なく墓地へ送ったような扱いになります。
そのため、「効果で墓地へ送られた」のトリガーにならなかったり、効果を受けないモンスターであってもその処理に巻き込まれます。
いくつかの裁定を元に確認していきましょう。
カード効果を受けないカードであっても影響を受ける
Question
自分のモンスターゾーンに「ロケット・ヘルモス・キャノン」と、『①:このカードは他のカードの効果を受けない』効果が適用されている「合神竜ティマイオス」が表側表示で存在しています。この状況で、融合を宣言して相手が「禁断の異本」を発動した場合、「合神竜ティマイオス」は墓地へ送られますか?
Answer
「禁断の異本」の『お互いのプレイヤーはフィールドのその種類のモンスターを全て墓地へ送らなければならない』効果処理は、モンスターに適用される効果ではありません。したがって、質問の状況の場合、「禁断の異本」の効果処理によって、「ロケット・ヘルモス・キャノン」と、「合神竜ティマイオス」の両方を墓地へ送らなければなりません。
カード効果で墓地へ送られた扱いにならない
Question
「アポクリフォート・キラー」の『③:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。相手は自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない』効果で相手が「シャドール・ファルコン」を墓地に送りました。この場合、「シャドール・ファルコン」の『②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚する』効果を発動する事はできますか?
Answer
「アポクリフォート・キラー」の『③:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。相手は自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない』効果が適用された場合、相手プレイヤーは自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならなくなります。この時、相手が「シャドール・ファルコン」を墓地へ送った場合でも、その墓地へ送られた「シャドール・ファルコン」は効果によって墓地へ送られた扱いではありません。
したがって、「シャドール・ファルコン」の『②:このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚する』効果を発動する事はできません。
相手によって墓地へ送られたことにもならない
Question
相手が発動した「痛み分け」の『モンスター1体をリリースしなければならない』処理を自分が行う際に、自分フィールド上に存在する「ヴェルズ・コッペリアル」をリリースする事を選んだ場合、「ヴェルズ・コッペリアル」の効果は発動しますか?
Answer
相手が発動した「痛み分け」の『モンスター1体をリリースしなければならない』処理を自分が行う際に、自分フィールド上に存在する「ヴェルズ・コッペリアル」をリリースする事を選んだ場合、「ヴェルズ・コッペリアル」の効果は発動しません。
ヴェルズ・コッペリアル
このカードは特殊召喚できない。このカードが相手によってフィールド上から離れた時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して次の自分のエンドフェイズ時までコントロールを得る。
あくまで「効果を受けたプレイヤー」が「墓地へ送る処理を行う」だけなので、
- 効果を受けないモンスターでも処理の影響を受ける
- 効果で墓地へ送られたわけではない
- 自分で墓地へ送ったため「相手によってフィールドから離れた」扱いにもならない
ずるいですね。
効果を受けないモンスターでもコストにしたりリリースは出来るので、それと似たような感じだと思ってもらえると受け入れやすいでしょう(コストでもないのですが)
この処理自体はBOOSTER7に収録された「痛み分け」からスタートしているので、割と歴史のあるテキストではあります。
しかし、
- このテキストを持つカードが少ない
- そもそも他のカードとのテキストの違いがわかりにくい
- 「群雄割拠」や「拮抗勝負」など使い勝手の良いカードはトーナメントシーン以外では採用率が低い
などの理由で、実は知らない、という方も多いのではないでしょうか。
「ジェネレイド」は強力なテーマであり、また「轟の王 ハール」は非常に強力な効果を持っています。今後は見かけることも多く、使う機会もあるでしょう。
ちなみに、最近の公式データベースはかなり充実し、難しい処理でもしっかりと解説しルールの普及に努めています。
ハールに限らず、自分の使うカードは事前にしっかりと公式のQ&Aを確認するクセをつけましょう。
轟の王 ハール 公式Q&A
このカードに関連するQ&Aはありません。
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