ふわっとした感想を書きたかった。
傑作SF「ワールドトリガー」も大規模侵攻の辺りから面白くなってくる(と言われている)し、「五等分の花嫁」の一巻は三玖が勉強会に参加した辺りで終わる。「ONE PIECE」の一巻から大作の覇気を感じられる読者がどれほどいるだろうか。
「タコピー」のような前菜ジュエルミート作品でも無い限り、一巻から話題沸騰するようなことはなかなか無いだろう。
五等分ロス(※劇場版と花嫁展)によるラブ恋しさから手を出したこの作品、ハチャメチャ考察するでもなく、手放しにオススメするほどでもないけど、読んだ作品の感想をふわっと書いておこう、大体そんな感じ。後で跳ねた時に古参ぶりたいし。
Q. 面白いですか?
A. わかんない。一巻だし。
というより、話によって完成度が違うので評価に困る、というのが正直なところ。
パクチーめちゃくちゃ好きな人も人に勧めるようなことしないじゃん。
料理だけが取り柄の主人公・小湊料は、父の取り計らいで私立の名門・頂学園に、学生寮の炊事担当として働くことを条件に入学を許可された。だが、その“寮”とは、なんと未来の金メダリスト候補が住む女子寮だったのだ。トップアスリートたちの食事への要求は当然ハイレベル。彼女たちの胃を満たし、五輪への身体作りを担う至難のミッションに挑戦せよ!アスリートJK×五輪グルメ!美味しい女子寮ハーレムラブコメ開幕!!
マガポケ公式より
五等分の花嫁(他数多のラブコメ)と食戟のソーマを足して3で割ったようなあらすじですが*1、現状をざっくり説明すると
- 1~2話:入寮許可(暫定)
- 以降現在まで各ヒロイン編
となっている。
順序としては結月(水泳)→京子(柔道)→かおる(体操)→日鞠(テニス)となっており、日鞠ルートが現在進行中。
結月の話は完成度高いと思っていて、ヒロインの内面とそれによる食事の問題=アスリートとしての不調を上手く繋げていた。
結月の食事がわかりやすく壊滅していたことで着地の説得力も増し、「ごちそうさま」を笑顔で伝えるのも、ありきたりのように思えながら経緯を考えると非常に綺麗に着水している。食事の改善=パフォーマンスの改善を成立させつつ、食事の改善に主人公との交流が必要になっていた点もポイントが高い。
最初の篭絡ヒロインということで気合が入っていただろうが、全ての設定を無駄なく活かしていた完全栄養食ストーリーだった。
対して、京子は食事自体に問題はなく、見失っていた方向性を料理で示しただけで、問題の解決に料理をくっつけたような印象を受ける。良く言えば結月と被らないよう手を変え品を変え、悪く言えば料理設定が無くても成立しちゃうな、、、というところ。
(とは言えあまりに食事を壊滅させすぎると本気で競技に取り組んでいるという設定が破綻しかねないので難しいところではある)
だからこそ、現時点で手放しにお勧めするかと言うとそうでもない。*2
ただ、ヒロインの好感度のコントロールが妙に上手いので、大化けしなくても大コケもしないだろうなという安心感はある。
当初、ヒロインたち(主に日鞠)は、
- 女子寮なのに男子が住むこと自体反対(二話で一応妥協)
- 食事制限してるから甘えたメニューは口に出来ない
の二点から主人公を拒否していた。*3
反面、それらに反していないシーンに関しては普通に接している。男子が住むことは反対だし、食堂の利用も積極的にはしないけど、主人公のことが嫌いというわけではない、これが感じられるのが非常に偉い。
特に顕著なのがテニス部の日鞠。非常識でデリカシーの無い言動も多い主人公と衝突しつつも、そうでない場面では友好的に接している。
随所で話を動かすことも多く、二乃の態度で四葉ムーブし続けていると言ってもいい。こいつがメインヒロインだろ*4
また、主人公の方に理がある場面に関しては素直に受け入れることが多い。主人公が女子トイレでに突入するシーン、日鞠は当たり前に反発している反面、当事者の結月は素直に受け入れている。全員、良くも悪くも「良い子」である。
という感じで、結月編(良かった)→京子編(普通)→かおる編(普通)の評価なので「めちゃくちゃ良いよ!!」とお勧めする感じではないんだけど、結月編の完成度は高くヒロインの描写も上手いので、とりあえず興味があれば読んでみてほしい。マガポケで無料で読めるし。
「ヒロインの悩みがすんなり解決する」という点と「料理で悩みを解決するというコンセプトがそもそもマンネリ化しそう」という点がかなり気になるところではあるが*5、願わくばこの作品が大化けし、「ま、俺は最初からわかってたけどね」と古参ぶる日が来ることを祈るばかりである。