かしこまメガトンパンチ

遊戯王とマンガ中心の雑記ブログ

【漫画】「説得力」が強すぎる漫画「アクタージュ」をみんな読んでほしい

皆さんは、週刊少年ジャンプで連載中の「アクタージュ」という作品をご存知でしょうか。

演劇を題材にした作品で、「自分の経験を演技に反映する」主人公・夜凪景(よなぎけい)が段々とその才能を開花させ女優として成長していく、そんな作品です。

 

アクタージュ act-age コミック 1-9巻セット

アクタージュ act-age コミック 1-9巻セット

 

 

ぼくはこの作品に関してはかなり後発組で、なんとなーく読んでいてああ今こんな感じの話やってるんだーという程度の認識でした。

そんな中、単行本で言うと10巻収録の話を読んでその場で本屋に駆け込み単行本を買い揃えていました。

 

アクタージュ、表現力というか描写の説得力が強すぎる。

ちょっと尋常じゃない作品です。

 

8巻から、現在も続いている「羅刹女」編が始まります。西遊記に登場する孫悟空の敵の物語で、羅刹女の怒りを描く作中作です。

その架空の作品を題材に、主人公・夜凪景とそのライバル・百城千世子ダブルキャストで舞台を演じ、どちらが役者として上かを競い合います。

 

さて、話は進み、先に公演を行う主人公・夜凪景の舞台が始まります。

 

話題の新星女優・夜凪景とハリウッド俳優・王賀美陸の舞台が見れるぞと、開演を心待ちにしていた観客は、空気がすっ、と凍りついたのに気付きます。
 
彼女は、本当に人間なのか?
 
思わず息を飲むけれど、それすらも躊躇うほどに。喉の音が「彼女」の機嫌を損ねれば首を撥ねられる、それほどまでに「人でない何か」である「彼女」は怒っている。
観客の小さな女の子も、涙ぐみますが声は上げません。声を上げてもし「彼女」に目をつけられれば、もっとひどい目に遭うかもしれないから。
それほどまでの観客の「恐怖」を描くことにより、間接的に夜凪景の並外れた怒りの演技を表現しています。
ここで注目すべきは、夜凪景は声を荒げたりしているわけではない、という点です。
夜凪は、ただ歩いているだけなのです。
 
いくら「演技が上手い」と作中で言わせても、描写が伴わなければ読者は納得しません。
羅刹女の怒りを表現するために、羅刹女そのものを描くだけでなく、観客の恐怖や空気の重さを描き、夜凪景の演技に説得力を生み出しています。
 
しかし、それほどまでの表現と説得力と熱量を持って描かれた「夜凪景の羅刹女」でさえ、おそらく、
 
「百城千世子の羅刹女」に敗北するのです。
 
妬み、愛、憎しみ、恨み、怒り、それら全てを糧とした百城千世子の芝居に、夜凪景は敗北するのです。
 
さて、そこにはどんな舞台が待っているのでしょうか。
 
圧倒的な表現力で、作中の描写に説得力を持たせる2019年最強の演劇漫画「アクタージュ」。超オススメです。