先日の記事、ツイッター上で宣伝して頂いた皆さんありがとうございました。
金の脳は2,200円でした。
「LEGENDARY GOLD BOX」や「PP20」の発売に伴い、Q&Aが大量に更新されておりましたので、その中から裁定を一つ取り上げて解説していきます。
今日の主役は「超量士ホワイトレイヤー」「変容王 ヘル・ゲル」のお二人です。
二つのカードの違いと裁定
今回取り上げるテキストはこちらです。
超量士ホワイトレイヤー
『②:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「超量」モンスター1体を墓地へ送る。このカードの属性・レベルはそのモンスターと同じになる』
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
変容王 ヘル・ゲル
『①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、このカード以外のフィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。このカードのレベルをそのモンスターと同じにし、自分はそのモンスターのレベル×200LPを回復する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はSモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない』
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
そして、「ホワイトレイヤー」「ヘル・ゲル」の裁定がそれぞれこちらです。
超量士ホワイトレイヤー
召喚・特殊召喚に成功した際に発動した「超量士ホワイトレイヤー」のモンスター効果によって、デッキから同名カードである「超量士ホワイトレイヤー」を墓地へ送る事はできます。
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
変容王 ヘル・ゲル
召喚・特殊召喚に成功した際に発動する「変容王 ヘル・ゲル」のモンスター効果の対象として、「変容王 ヘル・ゲル」と同じレベルのモンスターを選択する事はできません。
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
「似たテキストだけど処理が異なる」パターンです。
今回は察している方も多いかもしれません。基本の部分から触れていきましょう。
複数の処理でも出来るとこまでは処理をするというシステム
遊戯王には、「効果内に複数の処理があり、効果処理時にそれら全てが完遂出来ない場合でも可能なところまでは処理を行う」というルールがあります。アハシマの記事はそのルールを悪用しようというお話でした。
パーフェクトルールブック2018ではこのように解説されています。
効果の処理
●カードの1つの効果に複数の処理がある場合、その効果の文章が書かれている順番に効果を処理する。また、基本的に1つの効果処理の途中で実行不可能な処理があった場合、そのあとの処理は全て行わない。
遊戯王オフィシャルカードゲーム パーフェクトルールブック2018 より
簡単に言うと、
- 効果はテキストの順番通りに処理する
- 実行不可能な処理があった時点で効果処理は終了≒可能なところまでは処理を行う
ということになります。
変容王 ヘル・ゲル(同じレベルは対象に取れない)
変容王 ヘル・ゲル
『①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、このカード以外のフィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。このカードのレベルをそのモンスターと同じにし、自分はそのモンスターのレベル×200LPを回復する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はSモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない』
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
効果処理の一番最初は、「このカードのレベルをそのモンスターと同じにする」。
同じレベルのモンスターを対象に取った場合、一番最初の処理が行えなくなる=何も行うことがない=空撃ち扱いとなるため、同じレベルのモンスターを対象に取れない、ということになります。
「輝神鳥ヴェーヌ」でも同じ裁定が出ています。
「輝神鳥ヴェーヌ」の『このターン、対象のモンスターのレベルは、見せたモンスターと同じになる』モンスター効果の対象として、手札から見せたモンスターと同じレベルのモンスターを選択する事はできません。
したがって、質問の状況のように、「輝神鳥ヴェーヌ」のモンスター効果を発動した際に手札からレベル1のモンスターを見せた場合には、対象として選択するモンスターはレベル2以上のモンスターでなければなりません。
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
超量士ホワイトレイヤー(同じレベルでも落とせる)
超量士ホワイトレイヤー
『②:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「超量」モンスター1体を墓地へ送る。このカードの属性・レベルはそのモンスターと同じになる』
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
『デッキから「超量」モンスター1体を墓地へ送る』処理と、『このカードの属性・レベルはそのモンスターと同じになる』処理は同時に行われる扱いですが、テキスト順で一番最初の処理は「デッキから「超量」モンスター1体を墓地へ送る」です。
このテキストの時点では「墓地ヘ送る」だけですので、問題なく処理が出来ます。そして「このカードの属性・レベルはそのモンスターと同じになる」は処理ができませんので、そこで処理が終了となります。
「RR-ペイン・レイニアス」の裁定
ホワイトレイヤーですが「RR-ペイン・レイニアス」で同じ裁定が出ています。加えて、ホワイトレイヤーと違い、こちらは対象を取った上で同じレベルのモンスターで処理を行っています。
テキスト
①:このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「RR」モンスター1体を対象として発動できる。自分はそのモンスターの攻撃力か守備力の内、低い方の数値分のダメージを受け、このカードを手札から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードのレベルは、対象のモンスターのレベルと同じになる。
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
レベル1の「RR」と名のついたモンスターを対象として、「RR-ペイン・レイニアス」のモンスター効果を発動する事ができます。
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
更に今回の話を裏打ちするかのように、ペインレイニアスは攻撃力か守備力が0のモンスターを対象にできません。
Q&A①
「RR-ペイン・レイニアス」のモンスター効果を発動する際に、質問の状況のように、攻撃力または守備力の内、低い方の数値が0の「RR-インペイル・レイニアス」を対象とする事はできません。
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
Q&A②
「RR-ペイン・レイニアス」のモンスター効果の処理時に、質問の状況のように、対象とした「RR-インペイル・レイニアス」の攻撃力または守備力の内、低い方の数値が0になっているような場合には、『自分はそのモンスターの攻撃力か守備力の内、低い方の数値分のダメージを受け』の処理を適用する事はできませんので、『このカードを手札から特殊召喚する』処理や『この効果で特殊召喚したこのカードのレベルは、対象のモンスターのレベルと同じになる』処理も結果的に適用されません。
遊戯王 オフィシャルカードゲーム データベース より
ペインレイニアスのテキスト順の一番最初の処理は「自分はそのモンスターの攻撃力か守備力の内、低い方の数値分のダメージを受ける」であり、攻撃力か守備力が0のモンスターを対象にした場合、その一番最初の処理を完了出来ない=何も処理が行えないため、そもそも対象に取れない、ということになります。
補足(別のシチュエーションなど)
テキストの最初に別の処理が挟まれていても、レベルを参照する効果の対象としてレベルの無いモンスターは対象に取れません。
「RR-ペイン・レイニアス」のモンスター効果を発動する際に、「RR-ライズ・ファルコン」等のエクシーズモンスターを対象とする事はできません。
(エクシーズモンスターはレベルを持ちません。)
一応補足として付け足しておきます。
今回のポイント
- 処理が行われない場合でも、その直前の処理までは行う
- このルールにより「超量士ホワイトレイヤー」は同名モンスターを墓地に送れる
この辺りのルールを覚えておくと、色んなシチュエーションに対応出来て便利です。